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2009年5月に作成された記事

2009年5月20日 (水)

個性が出始める三歳児検診

Anichosinki三歳児というのは、一人の人間としてのエゴと言うか個性が出始める頃である。それが発育の指標ともなるのだろうが、小児科専門医でもない内科医の私には、ただ個々の違いとしか見えない。それにも関わらず市が行っている三歳児検診を私は依頼されている。もちろん断りたいのだが、小児科医不足の昨今、市からの強い要望があり内科的な診察に終始するという条件でお引き受けしている。ただ実際に検診を行い3歳児を診察し続けていると、時におもしろい経験もする。小児科であれば普通の話かもしれないが、いつもは大人を相手にしている私にとっては興味深くおもしろい。個人の特定につながる内容ではないので、いくつかを紹介しましょう。

入って来るなり、その特徴的な髪型に目が釘付けになった。3歳児としては大きめの体の男の子で、元気に1人で歩いて入ってきた。金髪に近い茶髪に染められていたことにも驚いたが、全体に短めの俗に言うスポーツ刈りの頭髪の後方の一部分だけ伸ばしていて、それが細く編まれ首の付け根までヒモ状に伸びているのである。更に驚いたのは、続いて入ってきたお母さんである。いわゆるピンク色に染められ、パンク歌手が入ってきたかと思ってしまった。個性と言えばそれまでだが、3歳児の髪を染めることの髪へのダメージやアレルギーを心配する私は、やはり時代遅れなのだろうか?

Ajisai1 『だいじょうぶ ひとりですわれるの』と言いながら、椅子に座った女の子。下着にはキティちゃんのプリントが入っていた。私の「こんにちは、○○ちゃん」の声かけに、はっきりと「こんにちは」と返してくれた。必要な視診、触診も終えて、聴診をするため私は聴診器を耳に当てて、先端の部分を見せながら「もしもししても良いかな~?」と問いかけると、その女の子は、『うん』と大きく頷き、両手で聴診器の先端部分を握って口元に持って行き『もしもし~○○ちゃんですよ』とささやいたのである。 聴診器と言うのは、みなさんが思っている以上に大きく聞こえる。普通なら口元で話されたら、耳が痛いほどなのだが、この時は痛みよりもかわいらしさで顔が緩んでしまった。

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2009年5月17日 (日)

新型インフルエンザ国内感染確認の翌日が休日診療

Anichosinki5月17日日曜日の午後、今まさに休日の当番診療を行っている。ご存知のように、昨夜新型インフルエンザの国内感染例がまとめて見つかった翌日である。いつもと比べて電話の数は変わらないような気がするが、受診された患者さんは発熱患者さんばかり。しかも診察を終えて、必ず最後にこう尋ねる。『先生、新型インフルエンザではないですか?』

インフルエンザの診断は、簡単に言えば三つに分けることができる。1番目は、経過や症状、診察所見から診断する臨床診断。2番目はインフルエンザA型B型のウイルスに反応する試薬を用いた簡易検査。そして3番目が、インフルエンザウイルスを直接確認する最終的な方法だ。最後の3番目には、細かい手段がいくつもあり、最終的にはウイルスの遺伝学的な特徴まで判断する。普通我々開業医では、2番目の簡易検査まで行うことが可能である。

ところが、GW前に私の地元の子供達を中心にインフルエンザB型が流行した。季節外れとも言える流行に、学校側も慌てたが、私たちも慌てた。と言うのは、インフルエンザの簡易検査キットが底をついていたからである。早速追加注文をしたのだが、既に流行時期を過ぎてしまっていたため手に入らないという。幸いこの流行はGWによって終息を迎えてくれた。しかしまるで入れ替わりのように、新型インフルエンザの流行が報道されたのである。16000510jitaku1 相変わらず簡易検査キットは手に入らない状況で、我が国初の新型インフルエンザ感染者が報告され、ようやく若干数の検査キットを入手したと思えば、今回の初の国内感染者である。

『先生、新型インフルエンザではないでしょうか?』の問いに、「臨床診断は違うと思いますけど、簡易検査キットがないので、もし心配なら持っている機関で調べてもらって下さいね」としか言えない状況。数個の簡易検査キットは、疑われた人に行わねばならず確保しておきたい。保健所にこの状況について連絡すると、3~4個の簡易検査キットならお譲りできるので、取りに来ていただけたら・・・と、医院を今日空けられない自分には嬉しくもなく、期待とは異なる返答。明日以降、もう一度簡易検査キットを求めて、卸業者の方に連絡するが、今日はこれから数時間の間、本当に疑わしい患者さんが来ませんように、と祈りながら診察を続けざるをえない。

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2009年5月 6日 (水)

ボールペンと女子生徒

Anichosinki昔に比べて、製薬メーカーさんから提供される物品は減ったが、薬剤名入りであれ、付箋やメモ用紙、そしてボールペンは片田舎で開業する医院にとっては非常に嬉しい。製薬メーカーさん主催の研究会などに行くと、ほとんどの場合、薬品のパンフレットなどと共にレポート用紙と筆記具が付いている。いつの間にかボールペンは貯まっていき、使い切れないほどになることもある。

私が教えに行っている看護学校では、多くの教室がそうであるように、講義を始める前に出席を取る。と言っても、『今日休みの人いますか~?』と尋ねるだけで、名前を読み上げるようなことはもちろんしない。それでも欠席の人がいると、必ず誰かが『○○さん』と教えてくれ、問題となったこともない。そして、その報告を信じて出席簿に記入するわけであるが、私は講義にほとんどの場合筆記用具を持参していない。いや持っていたとしても慣例のように、教壇右前の席の生徒に筆記具を借りることにしている。もう10年以上そうしてきたので、特に意識することもなくそうしている。そしていつからか、その席の生徒に貯Bollpenまったボールペンをお礼の意味を込めて数本づつあげている。生徒達からみると、その席の特権みたいなものだ。席替えは案外頻回に行われており、ちょうどボールペンが貯まった頃に席替えがされている。

ところが、あるとき研究会が続いたことや新薬の発売のイベントなどでボールペンが急速に貯まったので、生徒にあげるつもりで講義に持参した。しかしまだ席替えは行われておらず、既に右前の席の生徒には渡してある。そこで講義中にボールペンを数本取り出し、突然『ボールペン欲しい人?』と声をかけてみた。若いというのは素晴らしい。一斉に数人の生徒が手を挙げたが、中でも一人の女生徒がもっとも早かった。そこで、その子に優先権を与え好きな物を選ばせてあげた。別にボールペンをあげることに意味も、目的もないのであるが、講義の中休みとしての意味はあったようである。ところが、その後私の講義のペースは完全に狂ってしまったのだ。
1600074jitaku2 講義に戻ってしばらくしてから、先ほど真っ先に手を挙げてボールペンをゲットした女子を見ると、なんとその生徒が鼻の下に上唇とでボールペンを挟んでいるのである。しかも、そのしぐさが実に自然なのだ。本人もそうしていることに、何の罪悪感も、羞恥心も持っていないようである。両肘を机に付き両手で顎をのせ、ボールペンを挟んでいるものの、顔はすこぶる真剣に私の講義を聴いているのである。
不覚にも、私は吹き出しそうになってしまった。別に笑うようなことではないのかもしれないが、一見不自然にも思えるその行為を、いまどきの女の子とも言える容姿の女生徒が自然に行っていることが私には滑稽に思えてしまったのである。
さすがに吹き出すわけにもいかず、笑いをこらえたのであるが、彼女がその仕草を止めてからも頭から離れず、黒板に向かっても、突然その顔を思い出したりしてしまった。雑談ばかりの私の講義内容で、偉そうなことは言えないが、明らかにいつもの講義よりはペースダウンしてしまった。まだまだ修行が足らない自分を感じつつも、今でもその顔を思い出すとなぜか笑いがこみ上げてくる。

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