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2010年2月に作成された記事

2010年2月 9日 (火)

マスコミの報道とマスク着用率

Anichosinki めっきり、新型インフルエンザの話題がマスコミから報じられなくなった。既に20歳以下の感染のピークが過ぎ、絶対数が減った今、大人の感染状況は余り変わっていなくても、報道する価値がないと判断しているのであろう。我々地域医療の前線である開業医にとって、こんな状況は困惑するばかりである。

つい1~2ヶ月前までは、『いつになったら、新型インフルエンザワクチン接種していただけるんですか?』と問い合わせが多く、その対応に追われていた。国から配布されるワクチンも、小出しでしか届かず、実際届くまでその本数もわからず、接種の予約すら取れない状況であった。それが今は、マスコミのインフルエンザ報道からの撤退?に伴い、ワクチンを受けようと考える人が激減し、予約されていた方のキャンセルも増え、今や国産ワクチンすら余って来始めている。

と、愚痴はこれくらいにして、マスコミの力が如何に大きいかという事実を物語るデータ(と言Photo っても大したものではないが・・・)を一つ紹介する事にしよう。私は、未だに手書きカルテを使用しているのであるが、とにかくたくさん書き込む。必要な医学情報以外に、患者さんの雑談や気になった点などもすぐに書き込む癖がついている。そこで、昨年夏以降、つまりインフルエンザが流行って以降、風邪症状で受診した患者さんを除いて、マスクを着用して来院した方に印を付けてみた。すると、以下のような状況であった。

8月:15% 9月:10% 10月:75% 11月:78% 12月:55% 1月:8% そして2月は5%未満であった(随意の一日のデータ)。高血圧や糖尿病のいわゆる安定した患者様から得たデーターであり、このマスク着用率は、一般の方々の同行とほぼ同じと言える。

1028musk これと照らし合わすようにマスコミの報道を思い出してみると、8月頃は、まだ実態がはっきりしない新型インフルエンザに対する恐怖の内容が多かった。9月になって徐々に学生の間で感染が拡大している状況が報道されていた。そして10月頃からは、連日のように感染拡大の報道に加えて、ワイドショーなどでは、マスクや手洗いの重要性を伝える特集も増えてきた。11月に入ると、さらにその状況が拡大し、新型インフルエンザの言葉を聞かない日はなかった。同時にマスク不足などの報道も加熱し、マスクのみならず、手洗い消毒薬の不足なども報じられた。12月頃からその数が徐々に減り始め、報道の中心はワクチン接種の状況に変わっていった。年が明けてからは、ワクチンの情報がちらほら流されるくらいで、ほとんど感染状況の報道は無くなり、当然その脅威や対策に関する報道もされなくなった。そして今や、報道そのものが影を潜めている。

新型インフルエンザに対して断言はできないが、これまでパンデミックを起こしたウイルスがその後の季節性インフルエンザとして流行する歴史から見ると、小さな変異を繰り返しつつも、今後も流行する可能性が高い。であれば今年ワクチン接種を受けて、何らかの免疫を獲得しておくことは意味があることと考えられる。しかし、既にマスコミの熱も冷めてしまっている現状では、人々にそう言った考えを持っていただく機会もなさそうである。

諸説の中、国が購入した輸入ワクチンが無駄になるどころか、慌てて製造された国産ワクチンすら十分に活用されない可能性も高いのではないかと、いち開業医としても危惧する。

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