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2012年3月27日 (火)

まだまだ認識されていない認知症

Anichosinki 今回は、少しまじめな話題である。『認知症』、この言葉を知らない人はいないですよね。現在80歳以上の4人に1人は認知症と言われ、今後も増加が予想される疾患である。以前は痴呆症と言っていたが、認知症と名前が変わった背景には、痴呆という差別用語を用いないだけじゃ無く、疾患への理解が医療界で深まったこともある。いわゆる認知症は単にボケでは無いと言うことであり、人が健全に生きていくために、記銘力を支柱とした様々な事項に対する認知機能が必要であり、認知症ではこの機能が障害される。結果人間関係や時間、空間の理解などを失ってしまうのである。

認知症の人は、認知症とは決して言わない。周囲の人が気づいて初めて医療機関を受診することが多く、一般的にその時点では軽度を少し通り過ぎて、中等症にさしかかった状態のことが多い。こう言った状況を改善するためには、一般の人たちに認知症を啓蒙する必要がある。しかし、認知機能障害そのものを理解してもらうことは困難であり、一般にBPSDと言われる、認知機能障害に伴って生じる問題行動を気にして初めて家人は認知症を意識する。

認知症の初期で、ただ記憶力が低下していても、家人の指示に従い、温和に生活することが可能であれば、一般に家人は問題意識を持たない。しかし、徘徊や暴言、作話などが生じると家人は『ボケてきた』として医療機関に連れて行くのである。つまり問題となるBPSDと言われる状態が生じなければ、認知症は放置されることが多いのだ。

ところが認知機能障害は確実に進行し、やがては温和な生活が困難となりBPSDの症状に家族が振り回され出すのである。現代の医療では認知症を治すことは不可能であるが、いくつかの薬剤が登場し、進行を遅らせることが少しではあるが可能になった。そして薬剤のみならず、生活環境や家人の対応の改善、あるいはリハビリ施設の利用などを早期から行うことで、認知症の進行を遅らせることも可能となりつつある。認知症となった人が、天命を全うする間、認知症やBPSDと呼ばれる症状で本人のみならず、家人も苦しまなくてすむかもしれないのである。(本人は、認知症となると周囲が苦しんでいることも理解できなくなるのだが・・・)Yuzu1

とは言え、現実にはそんな簡単ではなく、認知症をまだまだ誤解している方も多く、我々医療界も、もっと啓蒙活動に力を入れなくてはならない。

昨日孫と妻に付き添われ受診した高齢男性。数年前から徘徊したり、食事したことも忘れて騒いだりしていたが、付き添ってくる妻はその症状を受診される度に何度も何度も同じように繰り返して訴えてみえた。ただ詳細は孫から聴いていたのであるが、あまり毎回同じ訴えをされるため、妻に少々具体的なことを尋ねてみたのだが答えは返ってこなかった。と言うよりも答えられなかった。いくつか質問をすると認知症が十分疑えたため、受診の希望もなかったのであるが、失礼を承知で妻に認知機能検査を行った。結果は、ご主人よりも認知機能が障害されていたのである。ただただ、その結果に付き添ってきたお孫さんが驚いていた。

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コメント

>天命を全うする間・・・苦しまなくてすむかもしれない・・・

思うところが私にもたくさんあります。
でも今、本人や家族のために出来ることをやるしかないです。

投稿: 匿名希望 | 2012年3月27日 (火) 23時10分

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