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2012年7月 2日 (月)

在宅医療について考える

Anichosinki 少し硬い話となるが、先日TVで精神疾患患者様の長期入院を取り上げ、在宅医療への移行について、その問題点の多さを挙げていた。精神疾患に限らず、認知症、脳卒中後遺症、その他高齢者に認められる機能障害を伴う疾患なども同じであり、昨年度から在宅医療が強く叫ばれはじめ、各自治体や郡市区医師会もそれに向けて対応を迫られ、既に稼働している所もある。

私ごとであるが、今年度から行政と協力して認知症の対策・対応に取り組んでいる。認知症という、今後高齢社会の中で、本人だけで無く、家族をはじめ周囲の人も影響を受ける疾患を啓発し、理解し、対応していく必要があり、単に表面上のシステムを作るのではなく、根底にどのような理念を抱くかは、同じ対策を行うとしても重要であり、その意味合いによって対応は異なってくる。

具体的に言えば、認知症となった患者様の人権を何よりも尊重して対応するのと、介護していく周辺の方々の環境を整えるのとでは、おそらく大きなギャップが生じるはずである。

私は、開業医として二代目であり、父が昭和40年代以後開業医として活躍する姿を見てきた。当時は自家用車を持っている人も少なく、風邪でも往診していたが、当然、現在在宅医療と言われる対応をはじめ、看取り医療なども数多く行なっていた。点滴をするわけでもなく、今では意味があるとは思えないビタミン剤入りのブドウ糖の注射を行ないつつも、自然のまま亡くなられていく患者様を父は看取っていた。

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現代の様に、食事や娯楽同様に医療も濃厚に提供されるのが当たり前となり、更にネットで何でも調べることが可能な時代に、はたして積極的な医療を何も行なわない看取りの医療が成り立つかどうかは、はなはだ疑問である。上記したような認知症の対応と同様に、根底の理念が何処にあるかが重要となるはずである。

精神疾患患者様は、退院されると内服の中断率が高い。統合失調症などを患っておられる方では、内服しなければ幻覚などに悩まされることも多く、これが理由で想像すら付かない犯罪につながってしまう可能性もある。それでも、そのリスクを納得してでも在宅を目指すべきなのか?全く関係ない方からは、危険だから入院させておいて・・・などと言う声も聞こえてきそうである。

在宅医療の話題を語る前に、根底の理念を明らかにして、それをしっかりと我々が理解し、またそれぞれの対応の目的、問題点などを共有していかなければ、いずれ新たな問題が契機となり、増税と同じくマニフェストを改めなくてはならない結果につながるとしか思えない。

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