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2016年9月22日 (木)

どっちが怖い?

Anichosinki もう既に、話題となってからかなりの時間が経つし、数年前にもこれに似た報道がなされて、しばらく我々医療界は振り回された。しかし今回の報道は、明らかに週刊誌が売れる記事のネタとして医療に踏み込み、表現や文章のテクニックを用いて読者の不安心理をあおり、それが結果的に売れたことで、続編を狙って記事を書いているとしか思えない。勿論これまでのそれに類いした記事でも同じ手法を用いられてきたが、今回は限度を超えていると、おそらく医療関係者は皆がそう思っているはずである。

飛行機事故の確率は、交通機関の中では最も少ない。しかし搭乗前に心配し、無事目的地に着陸したときの安堵感は誰もが経験されたことではないだろうか?それでも飛行機を利用するのは、個々の人たちが目的とする手段のために必要だからである。仕事のため、旅行のため、遠く離れた人に会うため・・・様々であるが、全てそれを叶えるために必要だから飛行機を利用する。目的も無くただ飛行機に乗っていたいからと言う理由で利用される人は希有であろう。
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では、医療に於いて内服の目的は何であろうか?少なくとも薬が好きだから服用しているのではない。今患っている疾患を治すためと言うのが最もわかりやすい。では、高血圧症や脂質異常症、糖尿病を患っていると思っているだろうか?多くの方は持っているとは言われても、患っているとは言われないだろう。なぜなら、日常生活が問題なく過ごせているからである。しかし言われなくても、多くの人は、高血圧や脂質異常症、糖尿病を放置しておくと脳卒中や心筋梗塞など致死的な疾患になりやすいことを知っている。また死に至らなくても、そのために残りの人生、不自由を背負ったり、介護の世話になる可能性が高いこと(きっと飛行機事故に遭うより何倍も)高いことも知っている。
言うまでも無く、これらの疾患に対しては合併症の予防のための内服である。しかしその時に自覚症状がないと、つい内服している薬による作用、つまり副作用の方が気になる。目的地に着くことよりも無事に飛んでくれることの方が気になるのである。
ちなみに、定期的な診察の上で、薬剤師が管理を行っていれば、仮に副作用が出現しても十分に対処可能で有り、少なくとも致死的なことは無いと言える。
飛行機に乗るのが目的があったからであるが、それでも飛行機事故は心配である。同じように予防として内服する薬であるが、副作用は心配である。それは十分に理解できる。であるなら、正しく通院して医師の診察を受けて定期的に検査を行い、その上で薬剤師に管理してもらえば、副作用など恐れに足らずである。例えるなら、飛行機に乗るときに、十分な整備、そして飛行経路の安全を確保するのと同じではないだろうか?しかしこれが面倒だと思うと通院も検査もおっくうになる。
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高血圧や脂質異常症、糖尿病を管理もせずに放置すれば上述した合併症が生じる確率は10人に1人はくだらないであろう。それに対して正しい管理の下で副作用が問題になる確率は1000人~10万人に1人である。
それでもゼロではない。そのゼロではなかった事象を、さも頻回に生じるように伝えて、恐怖をあおり、結果的に合併症を生じても何の責任もとらない。そんな週刊誌の記事をこれからもあなたは信じますか?

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