随分しばらくぶりの更新です。灯台巡りは現在も続いているのですが、なかなか昔のように自由がきかなくなり、年間訪ねられる回数も減っていますが、今後も新たな灯台の記事はアップしていきますので、よろしくお願いいたします。
さて、そんな中、今回は青森県下北半島の最東北端の尻屋埼灯台をまとめます。既に2007年に記事にしており、今回は再訪です。機会があればもう一度訪ねたいと思っている灯台が十数基ありますが、尻屋埼灯台はその上位で、今回その機会を持てたことは非常に幸運でした。更に今回訪ねてみると、なんと上れる灯台に2018年から変わっていました。と言うことで、もう一度記事にして紹介します。
尻屋埼がある下北半島は、青森観光でも訪ねる人は決して多くないと思います。今回青森県を、下北半島だけでなく、津軽地方、八甲田方面、三沢八戸方面も巡った旅であっただけに、そう感じました。下北半島での観光地も限られているからでしょうが、行く先々で同じ人に何度も会いました。
そんな中で尻屋埼を訪ねたのは、全くの偶然なのですが、前回と同じ時間帯でした。同じように夏の青空でしたが、いくつか前回と異なっていました。そのひとつが風です。今回はほとんど風が吹いてなかったのですが、前回は海の音しか聞こえない静寂の中で風が強かったため、耳元を流れていく風の音が異様に大きく感じたことを覚えていました。と同時に、前回は風に乗って漂う寒 立馬の糞臭がかなり気になりましたが、今回はほとんど気にならなかったと言うのが前回との違いです。
そして何よりも大きな違いは、灯台の上に人がいるじゃありませんか!!前回と同じように、灯台に近づきながらシャッターを切っていると、ファインダーの中に燈塔の上部のドアが開いていて、人がいるのがわかりました。足早に近づいて敷地内に入ると、寄付といった形で入場料を払う受付が出来ていました。思わず係の女性に『いつから上れるようになったのですか?』と尋ねると、『昨年からですよ~』と教えてくれた。前回訪問したときは下から眺めて、その美しい姿に感動していたのですが、今回は上れると知り、早速らせん階段を上って燈塔を上ることにしました。
私が上ったときには二人みえたのですが、すぐに降りられ、しばらくの間一人で上からの景色を楽しむことが出来ました。ぐるっと一周見渡しながら回ってカメラに景観を収めたのですが、風が本当に穏やかで、波の音がかすかに聞こえてきます。気分的には夕方前と思っていたのですが、燈塔の影が海面に映る姿はそれほど伸びておらずに、まだ陽が十分に高いことを感じていました。
ここで書くことではないかもしれませんが、燈塔に上って、太平洋を眺めていると考えていました。前回2007年にここ尻屋 埼はじめ青森の灯台を、そしてその後2回にわたって宮城、福島、茨城と太平洋側の灯台を訪ね終えた翌年の2011年に、東日本震災があったのです。その時、ここ尻屋埼はどんな状況だったのだろう・・・と
前回訪ねてから、12年の歳月が流れていました。自分の中ではついこの間に来た・・・と言う感覚だっただけに、改めて年月を考えたとき、驚いてしまいました。自分が歳をとったということではなく、尻屋埼灯台が、あのときと同じくここに立ち、この景観を作っていることにです。当然のことですが、私にはそれが嬉しく感じました。あのとき訪ねて感じたいくつかの感動を思い出すことが出来たのです。ただし、その感動こそが旅愁だったとすれば、今回味わった感動はそれとは異なります。旅愁は、初めて、一人で、若いときに味わえるものだと、その昔国語の授業で教わった記憶がありますが、そうなんだと思いました。しかし、だからこそ異なった感動が湧き上がってきた気がし、それが年月を経たことによってもたらされたものであるなら、この世界を生きている自分の存在を改めて意識させられていました。
尻屋埼の写真に付きものの、寒立馬たち。前回も灯台の近くにはいてくれず、灯台の写真に一緒に写ってくれませんでしたが、今回も南の方に集まっていて、灯台の写真には一緒に入ってくれませんでした。この寒立馬の数頭は、以前訪ねたときにもいたと思うのですが、『今回も一緒に写ってくれないんだ~』と愚痴ったときに、こちらに目線を向けた馬がそうだったのでしょうか?
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