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2007年10月 2日 (火)

尻屋埼灯台(青森県)

BotantoudaiShiriyasaki2青森県の灯台を巡る中、最もゆっくりと時間が流れたように感じたのが今回記事にする尻屋埼灯台(写真右上) であろう。午後5時までの制限がある中、午後3時前に訪ねて、閉鎖される直前まで灯台を味わい続けたのだが、時間の経つのを意識することもなく、夢中になっていた。その意味では時間が最も早く経ったのかもしれない。

尻屋埼は、青森県下北半島の東端である。周囲は放牧場となっていて、森で囲まれた埼への進入は制限されており、夜間は入ることが出来ない。灯台を頂点に三角形の埼を海岸線に沿って整備された道がつながっている。Shiriyasaki6 道沿いは放牧場となり馬が集団で行動していた。制限区域に入る少し前の道沿いには採掘工場などがあり、人の存在を強く感じて通ったのであるが、森を越えると本当に世界が一変して、自然の中で時間が流れているのを感じる。牧場を前景に、海を背景にして道の正面に白くそびえる灯台の姿が見える。(写真左上)徐々に近づくとその美しい灯台の姿に見とれてしまった。まずは灯台正面に車を止めて周囲を歩くことにした。

が、車から降りたとたん糞臭に鼻を摘んだ。足の踏み場が無いほど、土の上、緑の草の上には馬の糞が点在していた。それでも海からの風も手伝い、すぐに臭いに慣れて灯台周囲を歩いた。観光客は他にもたくさんいたのだが、ほとんどは馬がいる方に行ってしまい、灯台周囲には私しかいなかった。馬も入れた写真を考えたのであるが、徐々に馬の 集団は灯台から離れていき、結局最後までそのチャンスは持てなかった。

Shiriyasaki3灯台の敷地内には、プラントンによるレンガ作りの説明などがある。灯台の海側から灯台を見上げてみた。あまり絵にならない構図であるが、陸側からは見えない後方半円形の土台の部分がファインダーを通して見え、たくましさと安心感を抱かせた。(写真右2番目)

Shiriyasaki1 尻屋埼灯台で過ごした時間がゆっくり流れたと感じた一因は、音がなかったことかも知れない。もちろん耳をすませば、波の寄せる音や他の観光客の声なども聞こえては来る。しかし太平洋から吹き続ける風の音だけが耳元で強く聞こえるのである。風は物に当たって初めて音となる。耳に当たる音だけが聞こえるとき、不思議に音が無いように私は感じてしまっていたのである。(写真左下は、風の音を感じながら撮影した灯台)

灯台周辺で1時間あまり過ごした後、埼の南西側に車を走らせた。制限されているエリアShiriyasaki5 だけに人影は全くない。車内から灯台を振り返ると、海岸線に沿って遠く灯台の姿が見えた。海岸線は夕日を迎えるほのかな朱色に染まり始めていたが、残念に感じたのは、これだけゆったり過ごせたエリアでも、海岸には多くの人工の漂着物が流れ着いていたことだ。(写真右下)ここで書くこと自体ナンセンスかも知れないが、灯台という人工物が自然にとけ込む姿をもっと参考にしたいものだと感じた。

制限の5時少し前にゲートを出て、宿を求めて陸奥市に向かって車を進めた。

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