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2010年5月13日 (木)

金子みすゞに満たされて(王子鼻灯台)

Botanomake 金子みすゞとの出会いは、私には必然的としか思えない。これまで誌面やテレビなどでみすゞの詩に触れ、理知的でいて暖かく、その感性の豊かさに心が動きながらもOujisaki3、それ以上追い求めることはしなかった。その後知り合いの女性から、みすゞを紹介されても、まだ目を向けていなかった。そんな金子みすゞをただ知っていたというだけの私が、必然的と感じるのは、あまりにも幾つかの偶然が重なり、金子みすゞの世界をより身近に感じることができたからである。

今回は、山口県長門市の青海島に立つ王子鼻灯台(写真右上)を紹介するつもりであったが、それ以上に感動的な金子みすゞとの出会いを、おまけ話として紹介させていただく。

Oujisakichizu7これまで何度も書いてきたが、私は晴れ男だと確信していた。が、前々回に紹介した川尻岬灯台を巡り終えた頃から雨に降られてしまったのだ。結局、この日予定していた灯台巡りを続ける気になれずに、長門市仙崎(地図左上)で宿を取ることにした。お昼過ぎであったが宿に電話すると、「いつからでもどうぞ」と言う嬉しい返事に甘え、午後2時頃宿に着いた。激しくはないが雨は降り続き、桜の季節に底冷えしている。部屋に備えられたこたつが嬉しく、早速足を突っ込むと、薄暗い春雨を窓ガラスの向こうに見ながら、若い頃に味わった時の流れに似たような時間をしばらく過ごしていた。Oujisaki1

起き上がった拍子に、ふと外を見ると「金子みすゞ記念館ココを入る」と言う電信柱の看板が目にとまった。何かに導かれるように、ふらっと傘をさして宿を出て歩くと、5分くらいで記念館に着いた。そこからは夢の世界である。みすゞの書斎など再現した部屋(写真右2番目))を見た後、記念館に入ると、生い立ちと共に紹介されたOujisaki8詩をゆっくりと読みながら進んだ。2時間くらいしてようやく展示室を後にした自分は、書籍や詩集の前で立ち止まった。完全にみすゞの世界に魅了されてしまっていたのだ。いくつかの詩を繰り返し読みながら、次々と並べられた詩集を手に取っていた。

「もうすぐ閉館ですよ」と言われ、急ぎたいのだが、買って帰ろうと思う一冊が絞りきれない。結局最初に手にした一冊(写真左中)を売店で求めてから記念館を後にした。

はっきり言えば、私は詩に興味を抱いたことがない。いや持てなかった。何か一つを表現Oujisaki4する中にも周囲を見てしまう。演じることの意味よりも演じ方を見てしまう。理解できても感じ入ることが出来ない。そんなつまらない人間だったのかもしれない。自分が金子みすゞを知ったことで、変わったなどとは言わない。だが彼女の感性に私の何かが共感し、引き込まれたことだけは間違いなさそうである。

Oujisaki6王子鼻灯台を対岸から見ると、雲に覆われた空はまだ明るかった。(写真右3番目)見えてはいないが夕焼けがあるんだろうな・・・。さっき読んだばかりの「星とたんぽぽ」の一文が頭に浮かんだ。(写真左下:尾崎眞吾のみすゞギャラリー より)

蛇足になるが、この日宿に泊まったのは私一人。大広間での食事(写真右Oujisaki2下)も、大きな浴室も私一人のために整えられていた。一人には広過ぎる部屋を準備してくれたこと、そしてみすゞに出会わせてくれたこの宿にも思い出は深い。

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コメント

ブログを読ましていただいて、もう何年も開いていなかった金子みすゞ童謡集を手に取りました。
久しぶりに読むみすゞの詩は、瑞瑞しくて、あったかくて、ハッとさせられました。ああ、やっぱり良いなぁと再認識です。特に、土となしのしんは今の私と波長がとても合っている気がしました。
みすゞの世界に再び出逢って、気持ちがホッコリしました。

投稿: カオル | 2010年5月16日 (日) 21時23分

カオルさん コメントありがとうございました。
私は、ブログにも書いたように金子みすゞ初心者
で、童謡詩と触れたのも、この時が初めてと言って
良いようなものです。
ですから、語るほどのものはありませんが、
私にとっても、大切な一つになっています。

投稿: hide | 2010年5月17日 (月) 17時52分

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