早春のイメージ(加佐岬灯台)
私には、雪の中の真冬らしい灯台の写真を撮影した記憶がない。真冬に撮影した写真は何枚かあるのだが、雪が積もった、或いは吹雪の中で点灯する様なモノクロに近いイメージで写真を撮ったという記憶はない。そう思うと撮りに出かけたくなる自分。この冬は必ず出かけようと決心し、2月の最初の土日を利用して出かけることを予定していた。この
冬は、日本海側では例年にない大雪とのことで、行き帰りの足を心配することはあっても、当日の天候を気にすることはなかった。しかし、私が訪ねたその週だけ、急に暖かくなって、更に青空も見えた。日頃晴れ男と信じている自分であるが、今回だけはそんな自分が恨めしかった。
2011年1月の最後の週末は、福井県を中心に大雪であった。そして次の週末福井・石川県の灯台を目指したのであるが、北陸道は敦賀インターを越えた辺りから、両側に除雪した雪が高く積まれている。山肌もほぼ雪が覆っている。私はそんな景色を見ながら、辺り一面真っ白な雪に覆われた各地の灯台を思い浮かべて、口元が緩んでいた。しかし道路には、まったく雪はなかった。
灯台を目指して市街地を走ると、道路が少し狭くなるように両側に雪が積まれているものの、やはり道路には雪はない。田畑など土の上で、人の出入りの無い場所は雪に覆われているのだが、日が当たる屋根や側道には雪は残っていない。どこか不安を抱きつつ加佐岬に到着した。岬に続く細い道にも雪はなく、岬の駐車場で始めて雪の上を少し走ったくらいである。カメラリュックを背負い灯台に向かうと、地道の上には雪が残っているものの、木々に雪はなく、更に日が当たる斜面に雪はなかった。白の占める割合はほんの僅かである。
既に4度目で、通い慣れた加佐岬灯台(写真右上)と言える。灯台の真後ろから近づくと、その向こう側には、青空が広がっている(写真左上)。しばらく見ぬ間に、電線が無くなり太陽光発電が照射灯の後ろ側に付いていた。まずは、岬から突き出た埼に向かって歩いた。道にはシャーベット状になった雪が残っているが、埼にはまったく雪はない。振り返って灯台を見ても、逆光の光の中に冬の感じは漂うが、思い描いた光景ではない。できる限り冷調色のイメージで現像しようと思いつつシャッターを切った(写真右下)。その後岬の左側に移動して少しでも残った雪を入れて写真を撮った。構図的には大好きなアングルである。しかし青空を背景に、ほぼ溶けてしまって、わずかに雪が残るこの光景は、冬のイメージと言うよりも、早春の灯台の景色であった(写真左下)。
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